●2010年1月


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省エネ創作術 その1「その書き込み、必要ですか」 11月30日


 書き込みの密度が異様に高い作品があります。必然性があればいいのですが、わかりきったことがだらだらと書かれていたりします。

 これは、翻訳小説の影響かもしれませんね。
 同じ娯楽小説でも、西洋人と日本人では、書き込みの分量が全然違います。
 西洋人の作品は、おおむね、くどい。誤読を恐れているかのような書きようで、日常のなんということもないシーンでも細かく描写してしまう。

 人種や文化が混在していたり、文化の根底に、合理的マンセー! な考え方があったりするため、このようなだめ押しが必要なのかもしれませんが、日本人による日本人のための小説では、過ぎたる説明は百害あって一利なし。
 ただ一つのメリットは、書いたという満足感が得られるだけでしょう。読者には関係のない話ですけれど。

 日本人には、文化・社会・風俗に関する知識という、共通の土台があります。
 それは、「DB(データベース)」というよりも、Windowsでいうところでの、「DLL(ダイナミックリンクライブラリ)」に近いかも。汎用性の高いプログラムをパーツ化しておき、複数のアプリケーションから共通に利用できるようにしたライブラリのことで、各アプリケーションの無駄を省きます。実に合理的な考え方と言えましょう。

「今年も、コンビニにおでんの香りが漂いはじめた。餅入り巾着とこんにゃくがあれば、それだけで幸せになれる」

という文章を読んだだけで、冬の風物詩となったコンビニ店頭の光景、だしと醤油の香り、具材の歯ごたえまでたちどろころにイメージさせることができます。これも、教養やセンスを含むDLLのおかげ。
 このDLLをもっと戦略的に利用すれば省エネ創作が可能になります。
 しぐさの描写で心理的の動きまで伝えることができますからね。
 たとえば、「目尻を下げる」「白い目で」「眉根を寄せる」など。こんな描写パーツを使えば、知らないうちに紙幅が増えてしまうということもありません。
 ただし、手垢のついた語や、「どや顔」のような新しい語については慎重に。

 今回は、描写メインで省エネ創作術を考えました。次回は、ストーリーテリングの角度から見てまいりましょう。




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