●2010年3月


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抱かれてしまえば7(セブン)はやさしい。 3月29日


 愛用してきた自宅のデスクトップPCが、ついにお陀仏。
 マザーボードのハンダ割れが原因と思われるので、修理はあきらめました。
 パーソナルコンピュータ事業部門をレノボに売却するはるか以前のIBM製品ですから、どれだけ使い込んだか想像がつくでしょう。
 OSは、最新(当時)のWindows XP。それまで使っていたWindows 98SEとは比べものにならないほど安定していて、使えるものなら一生使いたい、と感激したものでした。

 ただ、Lunaというインターフェイスにはどうも馴れることができず、買ってすぐにクラシックスタイルに変えました。
 カスタマイズの自由度も高かったので、「XP高速化計画」などの見出しが躍るパソコン雑誌を大人買いしては、いろんなことを試しているときの楽しかったこと。

 しかし、そんな日々も長くは続きませんでした。
 Windows Vistaの情報がどんどん届きはじめたからです。
 とくに、Aeroと呼ばれるクールなインターフェイスにはクラっときましたね。
 カッチョいい……。インストールしてもいいかも、と思いつつシステム要件を調べてみたら、目の前真っ暗。
 私のPCでは、Aeroは動きません。
 Windows Vista Home Basicで手を打つか、と日和りかけたのですが、グラフィックアクセラレータが完全に力不足。選択肢は、現状維持のみでした。
 XPでも不満はないし、愛着もありましたから、そのまま使い続けたしだいです。

 そのうち、Vistaの評判が聞こえてくるようになりました。
 いい評価よりも悪い評価のほうを聞きたくなるのが人情。
 自分のマシンをVistaから否定されてしまったかのように思えて僻んでいた私には、なおのこと。

 それ見たことか!
 早まらずによかった!
 命拾いした!
 宝くじに当たりました!
 彼女ができました!
 身長が伸びました!
 毛が生えてきました!

 と、自分のPCのスペックの低さは棚にあげて、小躍りしてしまいました。やっぱりXPは一生モノだったのだなあ、と。

 そうこうするうちに、Windows 7ですよ。評判はかなりいい。
 しかし、どうせおれのPCじゃな……と、後ろ向きの私にはどうでもいいことでした。

 そして、運命の日。愛機昇天。
 とにかく買って帰る――その思いだけでヨドバシカメラに向かいました。
 ネットでオーダーしている余裕はありません。仕事の納期が明後日に迫ってるんですから。

 売場はラップトップ一色。デスクトップは申し訳程度に展示してあるだけ。
 提げて帰れる機種となると選択肢が狭くなります。
 さらに、いくらコンパクトでもCPUがAtomでは先が思いやられますから、候補は一機種のみ。こういうのを候補というのかどうかはわかりませんが……。

 で、OSはWindows 7。PCが信じられないくらい安いものですから、ちゃんと動くのか、とても不安になって店員に確かめました。

「完璧に作動します。これだけのスペックがあれば余裕ですよ」

 選択の余地はないのです。この言葉にすがって、レジへ。
 電車の中でも、家に帰り着いても不安は拭えません。
 周辺機器を取り付けて、パワーON!
 何やかやセッティングして、再起動。

 Windows XPを見なれていた目には実に新鮮でした。Aeroのグラスも素敵だ。
 さっそく普段使いのソフトをインストールして、仕事に取りかかりました。細かい設定は後回しです。

 無事、納品を終えた週末はWindows 7三昧。
 機能を確かめるたびに、「やるやん!」とニヤケてしまい、カスタマイズしようという欲望はまったく起きませんでした。
 同時に、新OSへの不信感もどこかへ行ってしまいました。

 安いPCだったので、必要最低限のソフトしか同梱されていませんでしたが、先代PCと同じソフト環境を再現しようという気になるかというとそうでもなく、このままでいいやというストイックな自分にびっくり。

 Windows 7を使いはじめてから丸2か月になるのですが、仕事用ソフトを数本インストールしただけ。
 われながら、枯れた感じがシブいと思うのですが、単に歳をとって面倒くさがりになったとも言えるかもしれません。

 しかし、便利とはこういうことなのかもしれませんな。
 あれこれ手を焼くのも楽しいけれど、その余地がなければないで清々しい。
 しなくてもいい苦労は、しないに越したことはありませんから。




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