●2007年4月


「閑々随筆」トップへ バックナンバー インデックスへ




のようなもの 4月2日


「プロとアマ」というふうに、セットでよく耳にしますが、両者の違いは何でしょうか。
 まず思いつくのが、その道で飯が食えているのがプロ、食えていないか食う気がないのがアマ。なるほどと思いますが、ことはそれほどシンプルではありません。
 先日、あるライターから聞いた話です。仕事のオファーがあったのですが、いよいよギャランティを詰める段になってびっくり。相場より2桁低い額を提示されたよし。にこやかに、そして毅然と仕事を断ったことは言うまでもありません。相手の若い編集者はきょとんとしていたそうです。
「プロじゃないやつが増えたよねえ」と嘆くライターをなぐさめながら、プロとアマの差に思いいたしたしだいです。
 こういうケースは他の分野でも、よく見聞きします。業界のルール、常識を知らずとも、その道で飯が食えている“プロ”はいるものです。となると、冒頭に掲げたプロ・アマの定義が一気に揺らぎます。

 いろんな人に、「あなたにとってプロとは?」という問を投げかけていたのですが、みなさん、そんなことにあまり興味がなさそうです。そんなときに強烈な定義が、ある人によってもたらされました。

「最初に結果を考えるのがプロ、方法を考えるのがアマだ!」

“だ!”なんて自信たっぷりに言われると思わずうなずいてしまいそうですが、これにも無理がありそうです。決定打だと思ったんですけどねえ。
 結果先にありきという姿勢でアプローチすれば、仕事の質に関係なくプロフェッショナルと呼べるのか。逆に、うまい方法を編み出してから仕事に取りかかり大成功をおさめたとしてもアマチュアなのか。
 なんだか、プロ・アマ問わず、成功した人間の言いぐさのような気がします。

 プロスポーツ選手が、「今年は結果を出します」なんて宣言した割には思わしくない成績しか残せなくても、アマチュア呼ばわりはされません。年俸が下がるか、引退して「元プロ」と言われるだけ。
 やっぱり、プロというのは、その道で収入を得ているかどうかということになるのでしょうか。腕は多少わるかろうが、とりあえずプロの世界に入ってしまえば、努力によって実力を高め、いずれは一流と称されるプロになることだってできる。いや、一流になれなくとも、プロとして生きていくことは可能です。そんな人が多いと思いますよ。先の例の編集者も業界人として生活しているくらいですからね。

 と、ここで、とんでもないことに気づいてしまいました。
 どだい、プロとアマを同じ土俵に上げることが間違いだったのではないでしょうか。
 プロ=えらい/アマ=たいしたことない、という二元論で論じるには無理がある。猫と犬、どちらがすぐれているかというようなものでしょう。アマチュア→セミプロ→プロフェッショナルなんて出世魚というか進化論というか、そういう見方では語れないんですよ。
 プロの中にもアマの中にも優劣のグラデーションがあるわけで、各カテゴリーの中で語るべし、というところでしょうか。
 くだんのライターの嘆き「プロじゃないやつ……」が、すべてを説明してくれているようです。「プロじゃないやつ」=「アマチュア」ではないんです。それを言うなら、「プロのようなもの」あるいは「プロもどき」ですか。

 それじゃアマって何なの? ということについては、いずれ稿をあらためて。



「閑々随筆」トップへ バックナンバー インデックスへ
Web Publishing AZUSA (C)2003-2017  All rights reserved.