●2004年3月


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●「オリジナル書評つき」なら読めるかも● 3月25日

「返却はいつでもいいから!」と気前よく本を貸してくれる知人がいます。
感銘を受けるのは必至なんだそうです。たいていは小説本ですね。
気になっていた本ならありがたく拝借するんですが、そういうことはめったにありません。
「読みたくない」なんてきっぱり言えたらどれだけ楽か。
「これ読みたかったんだあ」なんて白々しいトークこそ吐きませんが、「ほお、なんかよさそうだねえ」くらいは言いますよ、大人ですから。

その後、家に持ち帰るのも面倒くさいからオフィスの抽斗に入れっぱなしということになります。
「あれ読んでくれた?」なんてときどき聞かれることもありますが、正直に答えるわけはありませんね。
「うん。ちびちび読んでるよ」あたりが無難な線でしょうか。相手が忘れてしまったころを見計らって、返却。すでにほかの小説に興味が移っていたりしますから、「おもしろかったよ」とでも言っておけば深く追求されることもありません。
みなさんも似たり寄ったりのテクニックでこういう事態をうまく処理していらっしゃることでしょう。

こういう押しつけ――ありゃ、言っちゃった――をするのは若い人に多いようです。読んだ本を通して自分の感受性の鋭さをアピールしたいのでしょうか。
「読ませたいんだったら、自分で書いたもん持ってこい」と、ダークサイドにいるわたしがささやきます。
そこまでは求めませんが、せめて、書評くらいつけていただきたい。どこに感銘を受けたのか。ユニークなプロットだったのか。文体はどうだったのか。そういったことを自分のことばで書いてくれたら興味もわくし、読み手のセンスをアピールすることもできるでしょう。

「オリジナル書評つき」――これは強烈ですよ。
ただの書評とは異なり、現物(本)が目の前にあるわけですから、興味津々です。ネタばれあり、なんて冒頭に書いてあったりした日には、本を先に読んでしまいますね、ぜったい。で、次に書評を読む。なるほどとうなずいたり、どこを読んでるんだあいつ、と首をかしげたり……。そして、書評を前に差しつ差されつ、読書談義で盛り上がりたいものです。
書評がメインで、小説は刺身のつま。それはそれでよろしいではありませんか。作品にとって、作家にとって、とても幸福なんじゃないでしょうか。読み終えたらブックオフに直行、というベストセラー本よりもはるかに幸せです。

そういう薦め方をしてくれるなら、いくらでも受け付けますよ。いや、むしろ読みたい。読ませてください。
予防線を張ってやがるな、と邪推されそうなので、きょうはこのへんで。








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